臨床神経学

症例報告

Libman-Sacks心内膜炎を合併した中大脳動脈閉塞症に対する機械的血栓回収療法後に遅発性白質病変を認めた1例

沓名 章仁1)* , 青木 淳哉1), 古寺 紘人1), 西山 康裕1), 中根 俊成1), 木村 和美1)

Corresponding author: 日本医科大学脳神経内科〔〒113-8602 東京都文京区千駄木1-1-5〕
1) 日本医科大学脳神経内科

症例は59歳女性.右片麻痺を主訴に近医搬送され,MRIで左中大脳動脈M2閉塞を伴う脳梗塞を認めた.アルテプラーゼ投与後に当院へ転送され,機械的血栓回収療法で再開通が得られた.Libman-Sacks心内膜炎による脳塞栓症と診断し,後遺症なく退院した.10ヶ月後のMRIで左深部白質に白質病変を認め,認知機能低下を伴っていた.MR spectroscopyでcholine/creatineの上昇,N-acetylaspartate/creatineの低下,Lactateの上昇を認めた.血栓回収療法が奏効し遅発性に高次脳機能障害を呈した際は遅発性白質病変を考慮する必要がある.
Full Text of this Article in Japanese PDF (2611K)

(臨床神経, 62:716−721, 2022)
key words:機械的血栓回収療法,白質病変,遅発性低酸素白質脳症

(受付日:2022年2月9日)