臨床神経学

症例報告

COVID-19ワクチン接種後に多発ニューロパチーを来した43歳女性例

井関 真理1), 中山 博輝1), 渡邊 睦房1), 内堀 歩2), 千葉 厚郎2), 水谷 真之1)*

Corresponding author: 東京都立墨東病院脳神経内科〔〒130-8575 東京都墨田区江東橋4-23-15〕
1) 東京都立墨東病院脳神経内科
2) 杏林大学医学部付属病院脳神経内科

症例は43歳女性.コミナティ®(BNT162b2,ファイザー社)接種後に異常感覚と筋力低下,嚥下障害,高度の深部感覚障害を自覚し,当科を受診した.腱反射は消失,髄液検査は正常,抗ガングリオシド抗体は陰性で,神経伝導速度検査ではF波の出現率の低下を認めた.ワクチン接種による自己免疫性の末梢神経障害と考え血漿交換を行ったところ,症状は改善したが深部感覚障害は残存した.新型コロナウイルス感染(coronavirus disease 2019,以下COVID-19と略記)後およびCOVID-19ワクチン接種後に末梢神経障害を生じた既報例を本例と比較すると,深部感覚障害がめだつ点が特徴的だった.
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(臨床神経, 62:558−562, 2022)
key words:COVID-19,SARS-CoV-2,ワクチン,多発ニューロパチー,ギラン・バレー症候群

(受付日:2022年2月10日)