臨床神経学

短報

免疫チェックポイント阻害薬により筋炎・心筋炎,脳炎,非痙攣性てんかん重積を発症した1例

赤澤 明香1), 大塚 喜久1)* , 橋本 黎1), 松本 穣2), 米田 行宏1), 影山 恭史1)

Corresponding author: 兵庫県立尼崎総合医療センター脳神経内科〔〒660-8550 兵庫県尼崎市東難波町2-17-77〕
1) 兵庫県立尼崎総合医療センター脳神経内科
2) 兵庫県立尼崎総合医療センター泌尿器科

尿管癌に対して免疫チェックポイント阻害薬を投与中の72歳男性.亜急性に進行する四肢筋力低下,心不全,意識障害を認め,免疫関連有害事象(immune-related adverse events,以下irAEと略記)による筋炎・心筋炎,脳炎と診断した.ステロイド開始後,筋炎・心筋炎は改善したが意識障害は悪化し,脳波検査で非痙攣性てんかん重積が明らかとなった.血清中の抗横紋筋抗体,抗神経抗体,抗糖脂質抗体が陽性で,脳炎と筋炎・心筋炎の稀な合併を認めた点が本例の特徴であった.また,irAEにおいて免疫治療に反応が不良な意識障害を認めた場合は非痙攣性てんかん重積の可能性を考慮すべきである.
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(臨床神経, 62:395−398, 2022)
key words:免疫関連有害事象(irAE),免疫チェックポイント阻害薬,筋炎,脳炎,非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)

(受付日:2021年11月20日)