臨床神経学

症例報告

皮質性脳炎,間脳・視床・大脳白質病変,視神経炎を1年の経過で連続して呈したmyelin-oligodendrocyte glycoprotein抗体陽性の11歳女性例

押部 奈美子1), 竹下 幸男1), 高橋 志織1), 大石 真莉子1), 佐野 泰照1), 神田 隆1)*

Corresponding author: 山口大学大学院医学系研究科臨床神経学〔〒755-8505 山口県宇部市南小串1-1-1〕
1) 山口大学大学院医学系研究科臨床神経学

2回の皮質性脳炎の後,7ヶ月後に頭部MRIで白質病変と中脳・視床病変を認め,8ヶ月後に視神経炎を呈した11歳女性.重度の視神経炎に対してステロイドパルス療法が施行されたが効果が乏しく,当院転科後に単純血漿交換療法を施行した.視神経炎に対する加療中にmyelin-oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体が陽性であることが判明した.経過中に認めた皮質性脳炎,白質病変,中脳・視床病変はMOG抗体による一連の病態であると考えた.単純血漿交換療法により視力は病前の状態にまで速やかに改善し,MOG抗体関連疾患の難治例に対して単純血漿交換療法は小児例であっても推奨される治療法であると考えた.
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(臨床神経, 62:211−216, 2022)
key words:ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白抗体,皮質性脳炎,視神経炎,急性散在性脳脊髄炎,単純血漿交換療法

(受付日:2021年8月12日)