臨床神経学

症例報告

コロナウィルス修飾ウリジンRNAワクチン接種後に脳静脈洞血栓症を発症した1例

岩上 貴幸1)* , 山田 創1), 小笠原 禎文1), 孫 宰賢2)

Corresponding author: 友愛医療センター脳神経外科〔〒901-0224 沖縄県豊見城市字与根50番地5〕
1) 友愛医療センター脳神経外科
2) 新松戸中央総合病院脳神経外科

症例は生来健康な全く既往のない31歳男性.コロナウィルス修飾ウリジンRNAワクチン(トジナメラン)接種翌日より頭痛および繰り返す嘔吐を認めた.接種4日後には左半身の痺れも自覚し,当院救急外来受診.MRIで脳静脈洞血栓症と診断し,抗凝固療法を開始した.治療開始後症状は徐々に改善を認め,フォローアップのMRIでは閉塞静脈洞の大部分で再開通を認めた.採血上明らかな血栓性素因はなく,コロナウィルスの感染も否定的であった.ワクチン接種24時間以内に発症した脳静脈洞血栓症の1例を経験したが,両者の因果関係については今後より大規模な症例の蓄積から判断を行う必要がある.
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(臨床神経, 62:184−189, 2022)
key words:脳静脈洞血栓症,コロナウィルスワクチン,トジナメラン

(受付日:2021年6月17日)