臨床神経学

症例報告

長期間の集中治療管理を要したfebrile infection-related epilepsy syndromeの1例:ケタミン持続静注,デキサメタゾン髄腔内投与の試み

猪奥 徹也1), 井上 岳司2)* , 九鬼 一郎2), 今井 啓輔1), 山本 敦史1), 長 正訓1)

Corresponding author: 大阪市立総合医療センター小児青年てんかん診療センター,小児脳神経内科〔〒534-0021 大阪市都島区都島本通2-13-22〕
1) 京都第一赤十字病院脳神経・脳卒中科
2) 大阪市立総合医療センター小児青年てんかん診療センター,小児脳神経内科

16歳男性.発熱,群発型けいれん重積で救急搬送,febrile infection-related epilepsy syndrome(FIRES)と診断した.発作と多発する合併症の管理に苦慮した.超難治てんかん重積状態(super-refractory status epilepticus,以下SRSEと略記)に対し,他の抗けいれん薬とともにケタミン持続静注,デキサメタゾン髄腔内投与を追加した.第170病日に人工呼吸器から離脱,月単位の焦点運動発作と中等度の運動障害を残したが自宅生活が可能となった.SRSEが遷延するFIRESにおいて,より積極的な治療の追加も選択肢となりうる.
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(臨床神経, 62:123−129, 2022)
key words:febrile infection-related epilepsy syndrome,超難治てんかん重積状態,ケタミン,デキサメタゾン,髄腔内投与

(受付日:2021年3月31日)