臨床神経学

総説

COVID-19ワクチン接種後の血小板減少症を伴う脳静脈血栓症

河野 浩之1)*, 橋本 洋一郎2), 平野 照之1)

Corresponding author:杏林大学医学部脳卒中医学〔〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2〕
1) 杏林大学医学部脳卒中医学
2) 熊本市民病院脳神経内科

新型コロナウイルスに対するアデノウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリア®(アストラゼネカ社)の副反応として,血小板減少症を伴う血栓症(特に脳静脈血栓症)が報告されるようになり,欧州医薬品庁は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態と結論づけている.ヘパリン起因性血小板減少症と類似した病態といわれている.頻度は少ないものの,本病態が疑われる場合は,ヘパリン投与や血小板輸血を避け,高用量免疫グロブリン静注療法やヘパリン以外の抗凝固薬投与など,関連知見に基づいた最善と思われる治療を速やかに提供すべきである.本病態は新しい概念でありエビデンスは確立していないが,現状で報告されている内容をまとめた.
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(臨床神経, 61:594−601, 2021)
key words:COVID-19,ワクチン,血小板減少症,血栓症,脳静脈血栓症

(受付日:2021年5月21日)