臨床神経学

依頼総説

遺伝性神経疾患の遺伝カウンセリングと発症前診断

中村 勝哉1)2)*, 関島 良樹2)

Corresponding author:信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター〔〒390-8621 松本市旭3-1-1〕
1) 信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター
2) 信州大学医学部内科学第三教室

近年の遺伝子解析技術の進歩により,様々な遺伝性神経疾患の正確な診断が可能になっている.さらに,遺伝性ATTRアミロイドーシス,脊髄性筋萎縮症,デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは,核酸医薬などの画期的な疾患修飾療法が登場しており,脳神経内科医にとって発症前診断への対応を含めた遺伝医療の知識と実践能力の重要性が増している.遺伝性神経疾患の患者のみならず,患者家族に対する遺伝カウンセリングの必要性も今後更に高まると考えられ,人材育成を含めた遺伝カウンセリング体制の整備が急務である.
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(臨床神経, 61:588−593, 2021)
key words:遺伝性疾患,発症前診断,ハンチントン病,アミロイドーシス,遺伝カウンセリング

(受付日:2021年2月26日)