臨床神経学

症例報告

DWI-FLAIRの比較が超急性期脳梗塞との鑑別に有用だったてんかん性発作の1例

木澤 隆介1), 佐藤 健朗2)* , 梅原 淳2), 小松 鉄平2), 大本 周作2), 井口 保之2)

Corresponding author: 東京慈恵会医科大学脳神経内科〔〒105-0003 東京都港区西新橋3-25-8〕
1) 東京慈恵会医科大学医学部医学科
2) 東京慈恵会医科大学脳神経内科

症例は60歳男性.慢性硬膜下血腫を背景に失語と一過性の右上肢不全麻痺を呈した.発症1時間後の頭部MRIで左大脳皮質領域にdiffusion-weighted image(DWI)高信号,apparent diffusion coefficient低信号を認め,鑑別疾患として超急性期脳梗塞が挙げられた.しかし,硬膜下血腫に沿った大脳皮質と同側視床枕にMRI異常信号域が存在し,DWI高信号域と一致してfluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)高信号をすでに認めたことから超急性期脳梗塞は否定的と考え,てんかん性発作と考えた.また,FLAIRで硬膜下血腫からくも膜下腔へ血腫成分の漏出を認め,同領域の皮質が発作の焦点と考えられた.MRIの異常信号の局在と信号変化の時期が,発症早期より両者を区別するために有用である可能性が示唆された.
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(臨床神経, 61:166−171, 2021)
key words:てんかん性発作,慢性硬膜下血腫,超急性期脳梗塞,MRI

(受付日:2020年6月16日)