臨床神経学

症例報告

疾患関連遺伝子エクソーム解析によりLMNA遺伝子変異を認めたラミノパチーの1例

中村 憲一郎1)*, 松田 貴雄2), 花岡 拓哉1)3), 後藤 勝政1), 松原 悦朗3)

Corresponding author:国立病院機構西別府病院神経内科〔〒874-0840 大分県別府市大字鶴見4548番地〕
1) 国立病院機構西別府病院神経内科
2) 国立病院機構西別府病院生殖・遺伝科
3) 大分大学脳神経内科

自験例は,2歳頃より四肢筋力低下・筋萎縮・関節拘縮が進行した女性で,拘束性換気障害,30代より上室性及び心室性不整脈を合併し,55歳時に気管切開術,人工呼吸器装着,植込み型除細動器植込み術を施行したが,心不全が進行し,59歳で死亡した.血中CK 値は正常で,針筋電図検査では,正常波形に混在して高振幅や多相性の運動単位電位を認め,強収縮では干渉は低下していたが動員は比較的保たれていた.典型的なミオパチーの所見が明らかでなく診断に苦慮したが,疾患関連遺伝子エクソーム解析により,LMNA遺伝子にヘテロ接合性ミスセンス変異p.E358Kを認め,ラミノパチーの診断に有用であった.
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(臨床神経, 61:663−670, 2021)
key words:ラミノパチー,LMNA,Emery-Dreifuss 型筋ジストロフィー,針筋電図検査,エクソーム解析

(受付日:2021年5月6日)