臨床神経学

短報

長期間のコルヒチンの投与により回復が障害されたコルヒチンミオパチーの1例

嶋 浩嗣1), 細井 泰志1)*, 武内 智康1)2), 渡邊 一樹1), 杉本 昌宏3), 西野 一三4), 宮嶋 裕明1)

Corresponding author: 浜松医科大学内科学第一講座〔〒433-3192 静岡県浜松市東区半田山1-20-1〕
1) 浜松医科大学内科学第一講座
2) 浜松医科大学光尖端医学教育研究センター生体機能イメージング研究室
3) 三誠会北斗わかば病院
4) 国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部

症例は69歳女性.糖尿病による慢性腎不全と原因不明の心嚢水貯留を指摘され,心嚢水貯留に対してコルヒチンが開始された.開始後2か月より四肢筋力低下が出現し,緩徐に進行して1年半後に寝たきりの状態となった.コルヒチンの中止のみで筋力は軽快し,コルヒチンミオパチーと診断したが,コルヒチン中止後も四肢筋力低下が残存した.典型的なコルヒチンミオパチーは早期に改善するが,コルヒチンが長期に使用されたため筋力低下が残存した.これは筋量が少ないためCKが高値を取りにくかったこと,Crによる推算糸球体濾過量が実際の腎機能低下を反映せずコルヒチンミオパチーへのリスク認識が遅れたことによると考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (2584K)      Full Text of this Article in Japanese HTML

(臨床神経, 61:47−50, 2021)
key words:コルヒチンミオパチー,慢性腎不全,シスタチンC

(受付日:2020年6月5日)