臨床神経学

症例報告

脳生検で診断し得た多発脳出血を伴った血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

矢浦 一磨1), 渡辺 源也1)*, 中村 貴彬1), 突田 健一1), 鈴木 博義2), 鈴木 靖士1)

Corresponding author: 国立病院機構仙台医療センター脳神経内科〔〒983-8520 宮城県仙台市宮城野区宮城野2丁目11番12号〕
1)国立病院機構仙台医療センター脳神経内科
2)国立病院機構仙台医療センター病理診断科

症例は53歳女性,左上肢の間代性痙攣を認め入院した.頭部MRIで大脳に複数のFLAIR高信号,磁化率強調画像(susceptibility-weighted imaging; SWI)で多発する微小な低信号病変が見られ,抗痙攣薬の内服を開始した.しかし痙攣発作が再発し,頭部MRIで大脳にさらにSWI低信号の病変が新規に出現したため,脳生検し,出血を伴った血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma; IVLBCL)と診断した.IVLBCLは典型的な多発梗塞性病変だけでなく出血性病変でもIVLBCLを鑑別疾患の一つとして列挙する必要がある.
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(臨床神経, 60:206−212, 2020)
key words:血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL),血管内リンパ腫(IVL),磁化率強調画像(SWI),脳生検,脳出血

(受付日:2019年9月23日)