臨床神経学

短報

ドパミントランスポーターシンチグラフィーで集積低下を呈し下肢ジストニアを来したアレキサンダー病の1例

早野 絵梨1), 清水 幹人1), 馬場 孝輔1), 島村 宗尚1), 吉田 誠克2), 望月 秀樹1)*

Corresponding author: 大阪大学大学院医学研究科神経内科学〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2〕
1) 大阪大学大学院医学研究科神経内科学
2) 京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科

50歳女性.受診2年前から歩行障害,話しにくさが出現し精査目的で入院した.左下肢のジストニアと運動緩慢,起立性低血圧や構音障害を認め,ドパミントランスポーター(dopamine transporter; DaT)シンチグラフィーで両側線条体の集積低下を認めた.頭頸部画像で延髄・上位頸髄の萎縮性変化がありアレキサンダー病(Alexander disease; AxD)が疑われた.Glial fibrillary acidic protein(GFAP)遺伝子検査で本邦において既報告のないp.M73I(c.219G>T)変異を認め,延髄・脊髄優位型AxD と診断した.ジストニア所見を呈するAxDは稀であるが延髄や脊髄に特徴的な画像所見を認めた場合は,鑑別にAxDも念頭に置く必要がある.
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(臨床神経, 60:712−715, 2020)
key words:アレキサンダー病,ジストニア,ドパミントランスポーターシンチグラフィー

(受付日:2020年3月9日)