臨床神経学

症例報告

ペムブロリズマブ投与中に重症筋無力症を発症し,興奮収縮連関障害が示唆された1例

深沢 良輔1)*, 武澤 秀理1), 辻 有希子2), 能登 祐一2), 馬場 雅人3), 藤井 明弘1)

Corresponding author: 済生会滋賀県病院脳神経内科〔〒5203046 滋賀県栗東市大橋二丁目4番1号〕
1)済生会滋賀県病院脳神経内科
2)京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科学
3)済生会滋賀県病院泌尿器科

50代女性.膀胱癌再発に対し,ペムブロリズマブの投与を行い,2回目投与翌日より眼瞼下垂,複視,眼球運動制限,筋力低下,易疲労性,高クレアチンキナーゼ(CK)血症,筋痛が出現した.抗acetylcholine receptor(AChR)抗体や抗muscle specific kinase(MuSK)抗体は陰性で,神経筋接合部の電気生理学的検査所見は陰性だった.筋電図で筋原性変化を認めなかった.免疫チェックポイント阻害薬に関連した神経筋障害と考え,ステロイドや血漿交換療法などの免疫療法を行い症状は徐々に改善した.本例では,抗横紋筋抗体の抗titin抗体陽性であり,神経筋接合部ではなく,シナプス後膜の興奮収縮連関の障害により筋無力症様症状,高CK血症を来した可能性を考えた.
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(臨床神経, 60:37−40, 2020)
key words:重症筋無力症,ペムブロリズマブ,筋炎,興奮収縮連関障害

(受付日:2019年6月2日)