臨床神経学

短報

成人期アスペルガー症候群としてフォローされていたウイルソン病の1例

冨保 和宏1)*, 大島 壮生1), 吉井 雅美1), 鈴木 ひろみ1), 稲桝 丈司2), 泉 学3)

Corresponding author: 栃木県済生会宇キ宮病院神経内科〔〒321-0974 栃木県宇都宮市竹林町911-1〕
1)栃木県済生会宇キ宮病院神経内科
2)栃木県済生会宇キ宮病院脳神経外科
3)栃木県済生会宇キ宮病院総合内科

症例は,24歳男性.軽微な不随意運動にて近医精神科から精査紹介となった.当科受診までの3年間は,不安緊張による反復性咳,コミュニケーション能力や社会性の欠如,学歴から成人期アスペルガー症候群と診断され,加療を受けていた.各種精査にて神経型ウイルソン病と診断し,塩酸トリエンチンによる内服加療にて,アスペルガー症状とされた精神症状は軽減した.ウイルソン病は多彩な精神症状を示しうる疾患であり,原因不明の精神障害を認めた場合にはウイルソン病合併の可能性を考慮しておくことが必要である.
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(臨床神経, 59:589−591, 2019)
key words:Wilson病,アスペルガー症候群,精神症状

(受付日:2018年10月30日)