症例報告
頸部原発神経内分泌癌に合併した傍腫瘍性辺縁系脳炎の1例
猪奥 徹也1）＊, 今井 啓輔1）, 濱中 正嗣1）, 五影 昌弘1）, 傳 和眞1）, 山本 敦史1）, 為野 仁輔2）, 山本 聡2）
＊Corresponding author: 京都第一赤十字病院脳神経・脳卒中科〔〒605-0981 京都市東山区本町15-749〕
1）京都第一赤十字病院脳神経・脳卒中科
2）京都第一赤十字病院耳鼻咽喉科
症例は69歳男性．数年前より易怒性が出現し，某日夜間に左上下肢より始まる全身痙攣で救急搬送．頭部MRI-FLAIRにて右側頭極，両側扁桃体・海馬，右島皮質の異常高信号があり，頸部腫瘍の存在から傍腫瘍性辺縁系脳炎と診断した．抗てんかん薬にて鎮痙し第20病日に退院した．頸部腫瘍はリンパ節生検結果より転移性の神経内分泌癌（neuroendocrine carcinoma; NEC）と考えられていたが，第325病日目の頸部郭清術後に顎下腺由来の頸部原発NECと診断された．死亡後に血清抗amphiphysin抗体が陽性と判明した．頸部原発NECも傍腫瘍性辺縁系脳炎をきたしうる．
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(臨床神経, 59：442−447, 2019)
key words：辺縁系脳炎，傍腫瘍性神経症候群，頸部原発神経内分泌癌，抗amphiphysin抗体
（受付日：2019年3月15日）
