臨床神経学

症例報告

抗横紋筋抗体陽性の重症筋無力症合併ニボルマブ関連壊死性ミオパチーの1例

勇 亜衣子1), 内山 純花1), 島岡 雄一2), 鈴木 重明3), 河内 泉4), 藤田 信也1)*

Corresponding author: 長岡赤十字病院神経内科〔〒940-2108 新潟県長岡市千秋2丁目297-1〕
1)長岡赤十字病院神経内科
2)長岡赤十字病院呼吸器内科
3)慶應義塾大学医学部神経内科
4)新潟大学脳研究所神経内科

症例は,53歳男性.肺扁平上皮癌に対しニボルマブ投与を開始して約1ヶ月後に,日内変動を伴う眼瞼下垂や球症状などの重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)症状と高CK血症(5,266IU/l)をきたし,免疫関連有害事象(immune-related adverse event; irAE)と診断した.抗AChR抗体は陰性で,四肢筋力低下はなかったが,抗横紋筋抗体の抗titin抗体が陽性で,筋生検で筋線維の壊死と再生,炎症細胞浸潤を伴う壊死性ミオパチーの所見を認めた.ステロイド治療で速やかにCKは正常化し,症状も寛解した.神経系のirAEではMG症状で発症する筋炎が報告されているが,本症例は抗横紋筋抗体陽性で,筋生検でミオパチーの存在を確認した貴重な症例である.
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(臨床神経, 59:431−435, 2019)
key words:ニボルマブ,免疫関連有害事象,重症筋無力症,ミオパチー,抗横紋筋抗体

(受付日:2019年1月11日)