臨床神経学

症例報告

ニボルマブ投与後に発症した筋炎合併重症筋無力症の1剖検例

澤井 大樹1), 細川 隆史1)*, 重清 太郎1), 小川 将司1), 佐野 恵理1), 荒若 繁樹1)

Corresponding author: 大阪医科大学内科学IV 教室脳神経内科〔〒569-8686 大阪府高槻市大学町2番7号〕
1)大阪医科大学内科学IV 教室脳神経内科

症例は84歳女性.腎細胞癌に対しニボルマブが投与された13日後より複視,眼瞼下垂,四肢脱力,嚥下障害が出現し,高CK血症を伴った.塩酸エドロフォニウム試験及び反復刺激検査での漸減現象から重症筋無力症と診断した.抗アセチルコリン受容体抗体は陰性であった.IVIg及びステロイドの投与にてCK 値は正常化したが,身体症状は改善せず,呼吸不全で死亡された.剖検にて,腸腰筋と横隔膜の筋線維周囲にCD8陽性T細胞を主とした炎症細胞の浸潤が認められ,少数のCD4陽性T細胞も観察された.心筋に炎症細胞の浸潤を認めなかった.ニボルマブ投与後の筋炎合併重症筋無力症の剖検例は報告されておらず,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 59:360−364, 2019)
key words:ニボルマブ,重症筋無力症,筋炎,自己免疫関連有害事象

(受付日:2019年2月19日)