臨床神経学

総説

ファブリー病に対する酵素補充療法の現状と今後の展望

大橋 十也1)2)*

Corresponding author: 東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター遺伝子治療研究部〔〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8〕
1)東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター遺伝子治療研究部
2)東京慈恵会医科大学小児科

ファブリー病はαガラクトシダーゼAの欠損によりグロボトリアオシルセラミドなど糖脂質が,全身の様々な細胞,組織に沈着し,非常に多彩な症状を呈する疾患である.小児期には手足の痛み,発汗障害,被角血管腫,などの症状が出現し,成人になると腎障害,心障害,脳血管障害などの症状が出現する.以前は,対症療法しか出来なかったが,2000年初めより欠損する酵素を補充する治療法が臨床試験を経て,承認された.現時点で二つの製剤が承認されている.承認後,10年以上を経て,長期の安全性有効性を示すデータが発表された.また今年の8月には酵素を安定化させる薬理学的シャペロンも承認され,新しいコンセプトに基づく経口薬として注目を浴びている.
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(臨床神経, 59:335−338, 2019)
key words:ファブリー病,酵素補充療法,アガルシダーゼ・アルファ,アガルシダーゼ・ベータ,薬理学的シャペロン

(受付日:2018年11月1日)