臨床神経学

症例報告

関節リウマチに合併した中枢神経原発のメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1例

内田 雄大1), 北國 圭一1)*, 畑中 裕己1), 菊地 良直2), 田代 晴子3), 園生 雅弘1)

Corresponding author: 帝京大学医学部神経内科〔〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1〕
1)帝京大学医学部神経内科
2)帝京大学医学部病理学講座・同附属病院病理診断科
3)帝京大学医学部内科

症例は52歳女性.関節リウマチのためメトトレキサートを使用していた.左手脱力で受診しMRIで大脳の多発性病変が認められ,脳生検にてびまん性大細胞型B 細胞リンパ腫が証明された.メトトレキサートの使用歴からメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate associated lymphoproliferative disorders; MTXLPD)と診断された.MTX-LPDはMTX休薬のみで改善することが特徴とされるが本例では改善はなく,化学療法の効果も限定的で死に至った.中枢神経のMTX-LPDは非常に稀であるが,免疫抑制剤使用中の合併症の一つとして認知しておく必要がある.
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(臨床神経, 58:485−491, 2018)
key words:メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患,その他の医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患,中枢神経原発悪性リンパ腫,関節リウマチ

(受付日:2018年2月20日)