臨床神経学

症例報告

遅発性放射線障害により首下がり症を呈したホジキンリンパ腫サバイバーの1例

階堂 三砂子1)*, 湯浅 義人1), 池田 恢2)

Corresponding author: 地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター神経内科〔〒593-8304 大阪府堺市西区家原寺町1-1-1〕
1)地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター神経内科
2)地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター放射線治療科

症例は50歳,女性である.20歳時にホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma; HL)に罹患し,化学療法および放射線治療(radiotherapy; RT)で完治した.36歳時より後頸部の筋力低下が出現し,首下がり症(dropped head syndrome; DHS)のため50歳時に当科を受診した.RT照射野に一致する白斑症および頸部筋群・頸〜腰部傍脊柱筋の萎縮・筋力低下があり,針筋電図で傍脊柱筋に筋原性変化を認め放射線筋症と診断した.遅発性放射線障害によるDHSはRTの有名な合併症として知られ,本邦でも高齢者の咽頭癌・肺癌などで症例報告があるが,若年時にRTを受けたHLの報告はない.DHSはHLサバイバーの長期経過後に生じる種々の問題の一つとして,十分な認識と配慮が必要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (575K)

(臨床神経, 58:308−313, 2018)
key words:首下がり症,ホジキンリンパ腫,がんサバイバー,放射線治療,放射線筋症

(受付日:2018年2月20日)