臨床神経学

症例報告

三叉神経領域の帯状疱疹後に発症した両側頸部内頸動脈解離の1例

岩佐 真理子1)*, 三間 洋平1), 伊藤 絢1), 安部 裕子1), 上田 直子1), 大坪 亮一1)

Corresponding author: 淀川キリスト教病院脳血管神経内科〔〒533-0024 大阪市東淀川区柴島1丁目7番50号〕
1)淀川キリスト教病院脳血管神経内科

症例は62歳,男性.ネフローゼ症候群に対しプレドニゾロンを内服していた.右三叉神経領域の帯状疱疹に罹患し,バラシクロビルで加療された.1か月後,頭部右側の疼痛と嘔吐が出現し,MRIにて右前頭葉の急性期梗塞巣と右頸部内頸動脈解離が判明した.外傷や他の誘因は認めなかったため,先行した水痘帯状疱疹ウイルス感染の関与を考え,未分画ヘパリンに加えアシクロビルを投与したが,左内頸動脈にも壁在血腫の出現,及びこれらの病変の進展がみられた.第5病日,プレドニゾロンを1mg/kg/日に増量したところ,血管病変の進行を認めなくなった.頸部動脈解離と帯状疱疹との関連性を示唆する貴重な症例と考えられ報告する.
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(臨床神経, 58:292−296, 2018)
key words:帯状疱疹,内頸動脈解離,水痘帯状疱疹ウイルス関連血管炎,脳梗塞

(受付日:2017年10月3日)