臨床神経学

症例報告

聴神経生検にて診断に至ったneurolymphomatosisの1例

浅野目 明日香1)2)*, 鹿野 耕平1), 橋 佳恵1), 齋藤 司1), 澤田 潤1), 片山 隆行1)

Corresponding author: 旭川医科大学内科学講座(循環・呼吸・神経病態内科学分野)
〔〒078-8510 北海道旭川市緑が丘東2条1丁目1番1号〕
1)旭川医科大学内科学講座(循環・呼吸・神経病態内科学分野)
2)旭川リハビリテーション病院内科

症例は58歳女性.右末梢性顔面神経麻痺で当科受診.頭部CT・血液検査では異常を認めずベル麻痺の診断でステロイドを投与し症状は消失したが,約4か月後に左兎眼が出現した.再度ステロイド投与したが左V・IX・X神経障害も出現した.脳MRIで両側VII・VIIIと右VI,左IX・X神経に造影効果を認めpositron emission tomography(PET)では左VII・VIII・IX・X神経と左頸部リンパ節に集積を認めた.脳脊髄液検査では細胞蛋白の上昇を認めたが細胞診では陰性であった.左聾・右VI神経麻痺も出現したため左聴神経生検を行なったところdiffuse large B-cell lymphomaであった.本症例では障害された聴神経の生検が診断に有用であった.
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(臨床神経, 58:93−99, 2018)
key words:悪性リンパ腫,神経リンパ腫症,脳神経,聴神経,神経生検

(受付日:2017年7月28日)