臨床神経学

症例報告

5-fluorouracilとメトロニダゾールの併用にて急速進行性の白質脳症を呈した1例

福本 竜也1)*, 片多 史明1), 佐藤 進1), 柴山 秀博1), 村山 繁雄2), 福武 敏夫1)

Corresponding author: 亀田総合病院神経内科〔〒296-8602 千葉県鴨川市東町929〕
1)亀田総合病院神経内科
2)東京都健康長寿医療センター神経内科

症例は66歳女性である.直腸癌にFOLFOX療法(folinic acid,fluorouracil,oxaliplatin の3剤併用)開始(第1日目)後,骨盤内膿瘍を発症しピペラシリン/タゾバクタムが投与された.第14日目にセフトリアキソンとメトロニダゾールに変更し,同日,視野障害を認めた.頭部MRIで脳梁膨大部に病変を認め,メトロニダゾール脳症を疑い,同薬剤を中止した(総投与量2g).しかし数日で昏睡に至り,第26日目の頭部MRIで大脳,小脳,脳幹に拡がる白質病変を認め,第37日目に死亡した.病理では,髄鞘染色性の低下,空砲化が著明で,中毒性変化と考えられた.5-fluorouracil(5-FU)は第1日目のみの投与であるが,メトロニダゾールとの併用が発症に関係した可能性があり,注意が必要と考え報告する.
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(臨床神経, 58:118−123, 2018)
key words:5-FU,メトロニダゾール,白質脳症,病理

(受付日:2017年9月22日)