臨床神経学

総説

筋萎縮性側索硬化症の進行を示すバイオマーカー

三本 博1)*, 齋藤 豊和2)

Corresponding author: Eleanor and Lou Gehrig ALS Center, Department of Neurology, Columbia University Medical Center〔710 West 168th Street, New York, NY, 10032 USA〕
1)Eleanor and Lou Gehrig ALS Center, Department of Neurology, Columbia University Medical Center
2)北里大学名誉教授(現:医療法人興生会 相模台病院)

現在,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)の治療には2種類の薬剤が使用されているが,さらに効果的な治療が必要である.そのためには,臨床的な治療効果判定を補助する信頼性の高いバイオマーカー(biomarker; BM)の開発が必須である.神経生理学的BMと神経画像法BMはALSの疾患を理解する上で重要で,興味を引くものの,BMとしては高価であり,さらに充分なる研究が要求される.一方,体液を使用するBMにはクレアチニン(creatinine; Crn),尿酸(uric acid; UA),2種のニューロフラメント(pNF-HとNFL)があり,共にALSの進行を示唆する可能性が報告されている.CrnとUAは安価であり,またNFは多くの研究室でも研究可能なので,今後,臨床治療試験などあらゆる機会においてこれらの更なる信頼性が研究されるべきである.
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(臨床神経, 58:729−736, 2018)
key words:筋萎縮性側索硬化症,バイオマーカー,クレアチニン,尿酸,ニューロフラメント

(受付日:2018年8月28日)