臨床神経学

症例報告

自己免疫性甲状腺疾患とシェーグレン症候群を合併している慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスの1例:症例報告及び筋サルコイドーシス自験例の検討

磯部 隆1)5), 森 まどか1)*, 大矢 寧1), 齊藤 祐子2), 村田 美穂1), 西野 一三3)4), 高橋 祐二1)

Corresponding author: 国立精神・神経医療研究センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕
1)国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
2)国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部
3)国立精神・神経医療研究センター病院神経研究所疾病研究第一部
4)国立精神・神経医療研究センター病院メディカルゲノムセンター
5)社会医療法人財団慈泉会相澤病院神経内科

症例は62歳の女性である.15歳からバセドウ病,43歳よりシェーグレン症候群の治療を受けていた.52歳時から下肢近位優位の筋力低下が進行し,自己免疫疾患合併から多発筋炎を疑ったが,筋生検で慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスと診断した.過去に筋病理診断を行った筋サルコイドーシス25例中,6例が自己免疫疾患を合併し,内訳はシェーグレン症候群4例,バセドウ病1例,自己免疫性肝炎1例,アレルギー性紫斑病1例で,本例のみシェーグレン症候群にバセドウ病を合併した.自己免疫疾患を合併した筋力低下では多発筋炎が疑われやすいが,筋サルコイドーシスを筋生検で鑑別する必要がある.
Full Text of this Article in Japanese PDF (704K)

(臨床神経, 57:220−224, 2017)
key words:サルコイドーシス,自己免疫性甲状腺疾患,シェーグレン症候群,自己免疫疾患,慢性ミオパチー型

(受付日:2017年2月14日)