臨床神経学

症例報告

胸腺腫関連重症筋無力症の経過中に免疫不全(Good 症候群)を合併した1例

高井 俊輔1), 田川 朝子1)*, 小川 朋子1), 加藤 宏之1), 齋藤 紀子2), 岡田 真也3)

Corresponding author: 国際医療福祉大学病院神経内科〔〒329-2763 栃木県那須塩原市井口537-3〕
1)国際医療福祉大学病院神経内科
2)国際医療福祉大学呼吸器外科
3)国際医療福祉大学病院病理部

症例は65歳女性である.眼瞼下垂,腹筋の筋力低下を呈し,抗アセチルコリン受容体(抗AChR)抗体陽性の重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)と診断され,浸潤型胸腺腫を伴っていた.化学療法とステロイド治療で胸腺腫の縮小と筋無力症状の改善を認めたが,数か月後から著明な低γグロブリン血症を認め,日和見感染を繰り返した.B細胞比率1%と著明に低下,CD4+CD25+T細胞数の比率も低下し,液性免疫,細胞性免疫の両者の障害が示唆された.胸腺腫に免疫不全を合併するGood症候群の症例は散見されるが,さらにMGを伴い多彩な日和見感染を繰り返した報告は稀であるので報告する.
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(臨床神経, 57:208−213, 2017)
key words:Good症候群,免疫不全,重症筋無力症,胸腺腫,低γグロブリン血症

(受付日:2016年12月12日)