臨床神経学

症例報告

抗signal recognition particle抗体陽性ミオパチーとして加療中,アミロイドミオパチーの診断に至った1例

川上 暢子1)*, 勝山 祐輔1), 萩原 由佳1), 吉田 英史1), 金 剛1), 原田 清1)

Corresponding author: 静岡県立総合病院神経内科〔〒420-8527 静岡市葵区北安東4丁目27番1号〕
1)静岡県立総合病院神経内科

症例は78歳男性.亜急性に進行する近位筋の筋力低下と嚥下困難感が出現した.筋病理での炎症細胞浸潤を伴わない筋壊死再生所見と抗signal recognition particle(SRP)抗体陽性から抗SRP抗体陽性ミオパチーと診断し,プレドニゾロンとアザチオプリンの併用療法で血清CK値と臨床症状は軽快したが,1年後に増悪した.蛋白電気泳動検査でIgG(κ及びλ)型M蛋白陽性であり,筋病理で筋内の血管と筋線維辺縁にアミロイド沈着を認め,かつ免疫染色で抗λ抗体陽性を確認し,アミロイドミオパチーと診断した.全身性ALアミロイドーシスへの治療で症状は改善した.治療反応性よりアミロイドーシスが主病態と考えたが,二つのミオパチー病態を呈した意義について検討した.
Full Text of this Article in Japanese PDF (855K)

(臨床神経, 57:168−173, 2017)
key words:抗SRP抗体,壊死性ミオパチー,アミロイドーシス,アミロイドミオパチー,IgG型

(受付日:2016年11月2日)