臨床神経学

総説

Rapid eye movement (REM) 睡眠行動障害の診断,告知,治療

下畑 享良1)*, 井上 雄一2), 平田 幸一3)

Corresponding author: 新潟大学脳研究所神経内科〔〒951-8585 新潟市中央区旭町通1-757〕
1)新潟大学脳研究所神経内科
2)東京医科大学/医療法人絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木
3)獨協医科大学医学部内科学(神経)

REM睡眠行動障害(rapid eye movement (REM) sleep behavior disorder; RBD)は,夢内容の行動化を呈する睡眠時随伴症である.長期的な経過観察で,αシヌクレイノパチーの発症が高率に認められる.将来の発症リスクの告知は,患者に動揺をもたらすものの,患者には知る権利があることから,適切な時期や方法を症例ごとに検討した上で告知し,告知後はRBDに対する生活指導と治療を行い,精神的にも支援する必要がある.またRBDは,他の検査との組み合わせによりαシヌクレイノパチーの早期診断を実現する可能性があり,病態抑止療法への応用が期待される.
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(臨床神経, 57:63−70, 2017)
key words:REM睡眠行動障害,αシヌクレイノパチー,非運動症状,運動前症状,病態抑止療法

(受付日:2016年9月14日)