臨床神経学

短報

筋萎縮性側索硬化症における発作性交感神経亢進の1例

横井 克典1)*, 安藤 哲朗1), 石川 作和夫2)

Corresponding author: 安城更生病院神経内科〔〒446-8602 愛知県安城市安城町東広畔28〕
1)安城更生病院神経内科
2)石川医院

症例は80歳の男性.14年前に下肢脱力で筋委縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis; ALS)を発症した.8年前に人工呼吸器管理になり,3年前より眼球運動障害も出現し,閉じ込め状態になった.2年前より顔面紅潮,異常発汗,頻脈,血圧上昇を中心とする発作性交感神経亢進(paroxysmal sympathetic hyperactivity;PSH)が頻回に起きるようになり,カテコラミンの異常高値を認めた.治療にジアゼパムを使用し,発作の消失とカテコラミンの低下を認めた.PSHとカテコラミンの関連性,ジアゼパムの治療の有効性が示唆され,ALSのPSHの機序と治療を考察した.
Full Text of this Article in Japanese PDF (339K)

(臨床神経, 57:782−784, 2017)
key words:筋萎縮性側索硬化症,発作性交感神経亢進,ジアゼパム,カテコラミン

(受付日:2017年8月25日)