臨床神経学

症例報告

顕著な左右非対称性の下肢遠位優位の筋萎縮を呈したネマリンミオパチーの2症例

水野 由輝郎1)2), 森 まどか1)*, 大矢 寧1), 西川 敦子3), 西野 一三3)4), 橋 祐二1)

Corresponding author: 国立精神・神経医療研究センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東4-1-1〕
1)国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
2)横浜旭中央総合病院神経内科
3)国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
4)国立精神・神経医療研究センターメディカル・ゲノムセンターゲノム診療開発部

症例は37歳と35歳男性である.2例共に左右差を示す下肢遠位側優位の筋萎縮を幼小児期より認め,筋生検よりネマリンミオパチーと診断し,nebulin(NEB)に複合ヘテロ接合性変異が疑われた.後者では心筋及び呼吸障害を認めた.ネマリンミオパチーは一般的に心筋障害が少なく,左右対称性で近位側優位の筋萎縮・筋力低下を呈する.遠位側筋萎縮を示すネマリンミオパチーの報告は少数のみで,顕著な左右差を示す症例は過去に報告がなく,貴重な症例と考え報告する.
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(臨床神経, 57:691−697, 2017)
key words:ネマリンミオパチー,nebulin(NEB),下肢遠位優位筋萎縮,著明な左右差,心筋障害

(受付日:2017年3月16日)