臨床神経学

短報

ドパミントランスポーターシンチグラフィで線条体の集積低下を示し,レボドパ併用が有効であった糖尿病性舞踏病

横井 克典1)*, 數田 知之1), 鳥居 良太1), 遠藤 利洋1), 荒木 周1), 寺尾 心一1)

Corresponding author: 春日井市民病院神経内科〔〒486-8510 愛知県春日井市鷹来町1丁目1-1〕
1)春日井市民病院神経内科

症例は右上下肢のバリズムを呈した糖尿病性舞踏病の77歳,女性.初期の血糖は732mg/dl,HbA1cは12.2%で,前医で高浸透圧高血糖症候群と診断された.10日後から右上下肢のバリズムが出現し,1か月後に当科を受診した.MRI-T1強調画像で左被殻部に高信号域を認め,ドパミントランスポーターシンチグラフィ(dopamine transporter SPECT; DAT-SPECT)で左優位に両側線条体の集積低下を認めた.不随意運動はドパミン拮抗薬のハロペリドールとリスペリドンは無効で,クロルプロマジンで軽度改善した.DAT-SPECTの所見から,レボドパ併用がバリズムの抑制に有効だった.貴重な症例と考え報告した.
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(臨床神経, 57:591−594, 2017)
key words:糖尿病性舞踏病,バリズム,レボドパ,ドパミントランスポーターシンチグラフィ

(受付日:2017年3月29日)