臨床神経学

短報

ガラクトセレブロシド・リン脂質複合体に対するIgG抗体陽性急性自律性感覚性ニューロパチーの1例

石倉 照之1), 田 和城1)*, 木下 允1), 深田 慶1), 澤田 甚一1), 狭間 敬憲1)

Corresponding author: 大阪府立急性期・総合医療センター神経内科〔〒558-0056 大阪府大阪市住吉区万代東3-1-56〕
1)大阪府立急性期・総合医療センター神経内科

症例は62歳の女性である.上気道感染後に急性発症の自律神経症状,感覚障害,四肢腱反射消失を認め,筋力低下を認めなかったことから,急性自律性感覚性ニューロパチー(acute autonomic and sensory neuropathy; AASN)と診断した.血清中の自己抗体の検索を行ったところガラクトセレブロシド(galactocerebroside; Gal-Cer)とリン脂質(phospholipidic acid; PA)の混合抗原に対する抗体が強陽性であった.AASNについては病態に関連した自己抗体が明らかでなく,病態を考える上で貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 57:33−36, 2017)
key words:ガラクトセレブロシド,急性自律性感覚性ニューロパチー,ギラン・バレー症候群,抗糖脂質抗体,リン脂質

(受付日:2016年5月14日)