臨床神経学

短報

海綿静脈洞から眼窩内の病変を呈し,鼻粘膜生検が診断に有用であったIgG4関連疾患の1例

中田 るか1)*, 吉村 俊祐1), 本村 政勝1), 辻野 彰1), 林 徳真吉2), 原 稔3)

Corresponding author: 長崎大学病院第一内科・脳神経内科〔〒852-8501 長崎県長崎市坂本1丁目7番1号〕
1)長崎大学病院第一内科・脳神経内科
2)長崎大学病院病理診断科
3)長崎大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

症例は70歳男性.右眼痛,複視,視力低下のため入院した.MRIで右海綿静脈洞,外眼筋,視神経が腫大し右視神経周囲にリング状の信号上昇を認めた.縦隔リンパ節腫大,前立腺腫大もあり,高IgG4血症(355mg/dl)と併せてIgG4関連疾患を疑ったが,海綿静脈洞は生検困難な部位であり,気管支鏡下肺生検と前立腺針生検を施行したが診断できなかった.IgG4値上昇が続き,鼻粘膜の軽度肥厚があったことから鼻粘膜生検を行ったところ,IgG4染色陽性形質細胞浸潤を認めIgG4関連疾患と診断した.IgG4関連疾患では海綿静脈洞,外眼筋,視神経の病変を呈することがあり,鼻粘膜生検が有用であったため報告する.
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(臨床神経, 56:637−640, 2016)
key words:IgG4関連疾患,視神経炎,海綿静脈洞症候群,鼻粘膜生検

(受付日:2016年2月29日)