臨床神経学

短報

脊髄MRI上頸髄より腰髄にいたる脊髄内長軸伸展病変を認めた腎細胞癌脊髄転移の48歳男性の1例

野元 裕輔1), 月江 友美1), 栗田 正1)*, 関 香奈子1) , 鈴木 仁1) , 山ア 一人2)

Corresponding author: 帝京大学ちば総合医療センター神経内科〔〒299-0111 千葉県市原市姉崎3426-3〕
1)帝京大学ちば総合医療センター神経内科
2)帝京大学ちば総合医療センター病理部

症例は48歳の男性.2014年7月,左腎細胞癌の根治手術受けた.5ヵ月後,Th10以下の感覚障害が出現,脊椎MRI T2強調像でC7からL1まで長軸方向に広がる髄内高信号病変を認め精査目的で入院した.症状は急速に進行し対麻痺に至った.ステロイドパルス療法は奏功しなかった.第24病日の造影MRIでTh8〜9レベルに髄内腫瘤性病変を検出,腫瘤摘出術が施行され腎細胞癌脊髄内転移と診断された.術後のMRIでは髄内長軸伸展病変は消失,第112病日に軽快退院した.腎細胞癌の脊髄内単独転移は極めて稀であるが,MRI上髄内長軸伸展病変をみた場合,根治手術後であっても転移を疑う必要があると思われた.
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(臨床神経, 56:348−351, 2016)
key words:腎細胞癌,転移性脊髄腫瘍,脊髄内長軸伸展病変

(受付日:2015年11月25日)