臨床神経学

症例報告

著明な軸索障害を認め治療に抵抗性であったIgG4関連末梢神経障害の1例

鈴木 祐1)*, 白石 眞1), 山田 浩史1), 土居 正知2), 加藤 雅之3), 長谷川 泰弘1)

Corresponding author: 聖マリアンナ医科大学神経内科〔〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1〕
1)聖マリアンナ医科大学神経内科
2)聖マリアンナ医科大学診断病理学
3)聖マリアンナ医科大学血液内科

症例は78歳男性.両側膝下以下のしびれと疼痛を自覚し受診.同部位に温痛覚障害及び異常感覚,四肢腱反射の消失を認めた.血清IgG4高値,腹部単純CTではリンパ節腫大,骨髄生検でIgG4陽性細胞を認め,IgG4関連疾患と診断した.Prednisolone 30mg/日の内服を開始したがしびれは改善しなかった.神経生検では,Masson trichrome染色で血管閉塞像を,Luxol fast blue bodian染色で髄鞘を僅かに認めるのみであった.ステロイド抵抗性のIgG4関連末梢神経障害例は稀であるが,本症例では血管閉塞との関連が示唆され,早期からの治療介入を要するものと思われる.
Full Text of this Article in Japanese PDF (780K)

(臨床神経, 56:323−327, 2016)
key words:IgG4関連疾患,軸索障害,閉塞血管,ステロイド抵抗性

(受付日:2015年10月29日)