臨床神経学

症例報告

首下がりの日内変動を観察することでドパミンアゴニスト投与量を決定できたパーキンソン病の1例

大岩 康太郎1), 安井 敬三1), 長谷川 康博1)*

Corresponding author:名古屋第二赤十字病院神経内科〔〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2-9〕
1)名古屋第二赤十字病院神経内科

症例は50歳男性.36歳時に発症し,43歳時にパーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)と診断した.首下がり,wearing-offが出現し,すくみ足と易転倒性が悪化し入院した.ロチゴチンの投与を開始し,歩行障害および首下がりの日内変動を記録した.首下がりは歩行障害とほぼ平行して変動した.歩行障害はロチゴチンの増量で用量依存的に改善した.一方,首下がりはロチゴチン9mgで改善したが,18mgでは改善度が低下した.低用量ではundertreatmentで生じていた首下がりが改善し,高用量では薬剤誘発性の首下がりが出現した可能性がある.PDの姿勢異常に対しては,日内変動を観察し,治療方針を検討する必要があると考える.
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(臨床神経, 56:93−97, 2016)
key words:パーキンソン病,姿勢異常,首下がり,日内変動,ロチゴチン

(受付日:2015年9月2日)