臨床神経学

症例報告

中枢・末梢連合脱髄症(combined central and peripheral demyelination)の1例

野中 俊章1), 藤本 武士1)*, 江口 勝美2), 福田 安雄3), 吉村 俊朗4)

Corresponding author: 佐世保市立総合病院神経内科〔〒857-8511 長崎県佐世保市平瀬町9番地3〕
1)佐世保市立総合病院神経内科
2)佐世保市立総合病院内科
3)千住病院
4)長崎大学医学部保健学科

症例は22歳,男性.10歳頃より走るのが遅くなった.2011年6月より歩行時のふらつきが出現し,当科紹介入院となった.入院時,四肢筋力低下や凹足,痙性歩行がみられた.MRIで大脳深部白質や脳幹,胸髄などに多発する病変がみとめられた.末梢神経伝導検査にて上下肢の運動神経伝導速度の著明な低下と腓腹神経生検にて脱髄所見をみとめた.治療はステロイドパルス療法を2クール施行し,その後インターフェロンβ自己注射を継続したが,症状は徐々に改善傾向がみられた.中枢ならびに末梢神経系に著明な脱髄をきたす中枢・末梢連合脱髄症の病態には未だ不明な点も多く,治療方針も確立してはいない.更なる症例の蓄積と検討が望まれる.
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(臨床神経, 55:389−394, 2015)
key words:中枢・末梢連合脱髄症,多発性硬化症,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,抗neurofascin抗体

(受付日:2014年5月20日)