臨床神経学

症例報告

Lissauer型進行麻痺1例の臨床経過と継時的頭部MRI所見

石原 智彦1), 石原 彩子1), 小澤 鉄太郎1), 三瓶 一弘2), 下畑 享良1), 西澤 正豊1)*

Corresponding author: 新潟大学脳研究所神経内科〔〒951-8585 新潟市中央区旭町通1番町757番地〕
1)新潟大学脳研究所神経内科
2)新潟県厚生連佐渡総合病院神経内科

症例は60歳男性で,進行性の認知機能低下と痙攣発作を呈した.頭部MRIにて右前頭側頭葉を中心に広範なT2強調画像の高信号域をみとめた.脳血管造影検査で主要血管は正常であった.Mass effectを呈する画像所見から神経膠腫を鑑別に挙げたが血清,髄液梅毒検査が陽性であり,神経梅毒と診断した.ペニシリン静注にて治療を開始したが,肝障害のため,エリスロマイシンに変更した.2ヵ月間の治療後も認知機能は改善しなかった.経過中に施行した4回の頭部MRIにて,右側優位の進行性高度大脳萎縮を呈した.これらの所見よりLissauer型進行麻痺と診断した.経時的な脳萎縮の進行を確認しえた貴重な症例と考え報告する.
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(臨床神経, 55:238−242, 2015)
key words:神経梅毒,Lissauer型進行麻痺,認知症,MRI,脳血管造影検査

(受付日:2014年4月9日)