臨床神経学

症例報告

脳脊髄液抗ガラクトースIgG抗体が陽性であった関節リウマチ未発症の無菌性髄膜炎の1例

川端 雄一1)*, 宮地 洋輔1), 仲野 達1), 上木 英人2), 田中 章景2)

Corresponding author: 横浜栄共済病院脳卒中診療科・神経内科〔〒247-8581 神奈川県横浜市栄区桂町132〕
1)横浜栄共済病院脳卒中診療科・神経内科
2)横浜市立大学大学院医学研究科神経内科学・脳卒中医学

症例は失行,右上下肢麻痺,痙攣で発症し,関節リウマチ症状を認めない69歳女性.脳MRIで両側頭頂葉,左前頭葉の脳表に沿った限局性病変を認め,血中抗CCP抗体,抗ガラクトース欠損IgG抗体,MMP-3,脳脊髄液中抗ガラクトース欠損IgG抗体陽性であり病態的にリウマチ性髄膜炎が疑われた.ステロイド治療に反応し,診断と病勢の指標に抗体価指数(脳脊髄液中抗ガラクトース欠損IgG抗体価/血清抗ガラクトース欠損IgG抗体価)/(脳脊髄液中IgG/血清IgG)が有用であった.本症例は関節リウマチ未発症である点,脳脊髄液中抗ガラクトースIgG抗体を測定した点が初報告であり,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 55:904−908, 2015)
key words:リウマチ性髄膜炎,関節リウマチ,髄液抗ガラクトース欠損IgG抗体

(受付日:2015年4月18日)