臨床神経学

原著

脳卒中亜急性期の麻痺手の浮腫や痛みと皮膚温との関連
〜肩手症候群の病因〜

山中 弘子1)*, 山中 英賢1)

Corresponding author: 厚地リハビリテーション病院〔〒890-0068 鹿児島市東郡元町11番6号〕
1)厚地リハビリテーション病院

肩手症候群の病因は未だ不明である.われわれは無髄神経障害が肩甲下筋前面にあるとの仮説を立て,脳卒中亜急性期片麻痺75例を手の浮腫や痛覚過敏の有無で3群に分け,示指指尖皮膚温を室温22.2〜25.6℃か25.7〜30℃で測定した.浮腫なし群は23例.浮腫・痛み群20例では,患側皮膚温が健側より高く,温暖条件で差が小さく,75%で病変が内包・被殻・大脳白質と広い.内包,被殻病変の麻痺側上肢皮膚温は対側より低いと報告があり,指の高値は末梢神経障害を示唆する.浮腫群32例に温度差はない.浮腫群は後神経束の無髄神経遮断のみで軽症,浮腫・痛み群は後・外側神経束の無髄神経遮断と神経性炎症で重症の可能性がある.
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(臨床神経, 55:1−7, 2015)
key words:肩手症候群,無髄神経線維,皮膚温,浮腫,痛み

(受付日:2013年8月19日)