臨床神経学

短報

三叉神経痛にて発症し,perineural tumorとして進展した悪性リンパ腫の1例

眞野 智生1)2)*, 松尾 幸治1), 小林 洋介1), 小林 靖1), 小沢 広明3), 荒川 利直4)

Corresponding author: 岡崎市民病院脳神経内科〔〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3番地1〕
1)岡崎市民病院脳神経内科
2)名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学
3)岡崎市民病院病理診断科
4)岡崎市民病院放射線科

症例は79歳男性である.右頬に突発性の突き刺されるような痛みで発症した.発症時の頭部MRIでは頭蓋内に異常所見はなく,部位は三叉神経第2枝支配領域に限局しており,特発性三叉神経痛と診断された.神経痛は一旦軽快したものの,ことなる鈍い痛みが右頬に出現し,他の脳神経症状もともなった.頭部MRIにて三叉神経を介して翼突筋から脳幹部まで広がる造影効果をともなう病変をみとめた.生検の結果,B細胞性リンパ腫と診断された.悪性リンパ腫は単脳神経症状で出現し,perineural tumorとして進展することがあり,鑑別を要する.
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(臨床神経, 54:660−663, 2014)
key words:悪性リンパ腫,三叉神経,神経周囲腫瘍

(受付日:2013年10月1日)