臨床神経学

短報

Benign tremulous parkinsonismで両側視床下核−深部脳刺激術が有効であった1例

深江 治郎1)2)*, 深谷 親3), 大島 秀規3), 石井 賢二4), 坪井 義夫2), 片山 容一3), 服部 信孝1)

Corresponding author: 福岡大学神経内科〔〒814-0180 福岡県福岡市城南区七隈7-45-1〕
1)順天堂大学脳神経内科
2)福岡大学神経内科
3)日本大学脳神経外科
4)東京都健康長寿医療センター研究所神経画像研究チーム

症例は62歳の男性である.安静時振戦および姿勢時振戦を両上肢にみとめ,筋強剛はなく無動はごく軽度であった.[11C]CFT-PET所見では線条体ドパミン神経のシナプス前機能の低下がみとめ,[11C]RAC-PET所見ではシナプス後機能はわずかに亢進していた.Benign tremulous parkinsonism(BTP)と診断し内服薬による加療を開始したが効果がみられず,振戦は徐々に増悪しQOLの低下がみられた.そのため,両側視床下核−深部脳刺激術(subthalamic nucleus-deep brain stimulation; STN-DBS)を施行したところ,振戦は消失し経過は良好である.BTPで難治性の振戦はSTN-DBSの適応になると思われる.
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(臨床神経, 54:511−514, 2014)
key words:benign tremulous parkinsonism,振戦,深部脳刺激術,PET

(受付日:2013年4月30日)