臨床神経学

短報

可逆性の経過を呈した肝性ミエロパチーの1例

廣澤 太輔1), 深田 慶1), 八重垣 貴英1), 星 拓1), 澤田 甚一1), 狭間 敬憲1)*

Corresponding author: 大阪府立急性期・総合医療センター神経内科〔〒558-8558 大阪府大阪市住吉区万代東3丁目1番56号〕
1)大阪府立急性期・総合医療センター神経内科

症例は42歳女性である.アルコール性肝硬変の経過中,痙性歩行が出現し徐々に増悪した.四肢腱反射亢進,下肢振動覚の低下および下肢体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential; SEP)にて脊髄伝導障害をみとめ,肝硬変を基礎疾患とした高アンモニア血症を呈したことから肝性ミエロパチーと診断した.ラクツロース投与により血清アンモニア値は低下し,痙性歩行およびSEPの改善をみとめた.肝性ミエロパチーには肝移植のみが有効な治療とされてきたが,本例ではラクツロース内服によるアンモニア低下療法が有効であった.
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(臨床神経, 54:223−226, 2014)
key words:肝性ミエロパチー,体性感覚誘発電位,ラクツロース,肝移植,高アンモニア血症

(受付日:2013年2月19日)