臨床神経学

<レクチャーシリーズ 06-3> 診療に役立つ遺伝性ニューロパチーの話

遺伝性運動性・感覚性・自律神経性ニューロパチーの臨床

嶋 博1)2)

1)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座神経内科・老年病学〔〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8丁目35-1〕
2)鹿児島大学医学部・歯学部附属病院脳・神経センター神経内科

遺伝性ニューロパチーは臨床的遺伝的に多様で,運動,感覚神経が両方とも障害されるhereditary motor and sensory neuropathy(HMSN)またはCharcot-Marie-Tooth病(以下CMT),運動神経のみが障害されるhereditary motor neuropathy(HMN),感覚,自律神経が障害されるhereditary sensory and autonomic neuropathy(HSAN)などに分類される.遺伝性ニューロパチーは,臨床的特徴と遺伝形式で分類されていたが,原因遺伝子の同定も相次ぎ,その整合性がとれなくなっている部分も多い.同じ遺伝子の異常でも臨床的な病型にかなりのばらつきがあるということを念頭におき,常に発症年齢,臨床的特徴などを拡大的に解釈し,大きな視点から鑑別をすすめる必要がある.遺伝子診断は診断確認に重要で,本邦では次世代シークエンス法による原因遺伝子の遺伝子スクリーニングがおこなわれている.
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(臨床神経, 54:957−959, 2014)
key words:遺伝性ニューロパチー,遺伝性感覚性ニューロパチー,遺伝性自律神経性ニューロパチー,シャルコー・マリー・トゥース病,遺伝性運動性ニューロパチー

(受付日:2014年5月23日)