臨床神経学

<公募Symposium 05-1> 認知症根本治療の実現へ向けて

認知症診断・治療の現状と課題Overview

古川 勝敏1), 石木 愛子1), 冨田 尚希1), 荒井 啓行1)

1)東北大学加齢医学研究所老年医学分野〔〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町4-1〕

認知症の患者数の増加にともない,その診断法と治療法の向上は,現在の医学において最重要課題の一つである.診断においてはバイオマーカーの進歩が近年目覚ましい.バイオマーカーは大きく(i)体液の生化学マーカーと(ii)放射線をもちいた画像の二つに分類される.アルツハイマー病の治療においては現在4剤が保険適応になっているが,いずれも神経伝達物質をモジュレートするものであり,根本治療薬ではない.根本治療薬としてはアミロイドβ(Aβ)をターゲットとした薬剤がいくつか開発されたが,いずれも治験の段階で効果が証明されず,実用にいたっていない.現在,タウをはじめとしてAβ以外の分子を標的とした薬剤の開発が活発である.
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(臨床神経, 54:1171−1173, 2014)
key words:認知症,アルツハイマー病,バイオマーカー,タウ,アミロイドβ

(受付日:2014年5月21日)