臨床神経学

<Symposium 32-1> てんかん研究の最前線

自発てんかん発作を有した皮質異形成ラットモデル

鎌田 崇嗣1), 高瀬敬一郎2), 重藤 寛史3)

1)福岡山王病院てんかんセンター〔〒814-0001 福岡県福岡市早良区百道浜3丁目6番45号〕
2)飯塚病院神経内科
3)九州大学大学院神経内科学

局所皮質異形成は,難治性てんかんとの強い関連が指摘されている.われわれは,胎児期に頭蓋へ多発性の凍結損傷を与え,大脳皮質に皮質異形成を作製したラットモデルを作製し,自発てんかん発作を発症するかどうかを観察した.胎児期に皮質異形成を両側の前頭頭頂葉に作製したラットにて,出生後海馬にて自発てんかん発作波が観察され,臨床的にもヒトの側頭葉てんかんに類似したものであった.皮質異形成部と海馬での免疫組織化学的検討にて,てんかん原性の獲得の過程でグルタミン酸受容体を介した興奮性の変化がみられた.このモデルは,ヒトのてんかん原性獲得の機序を明らかにする手がかりを有すると考えられる.
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(臨床神経, 54:1132−1135, 2014)
key words:皮質異形成,凍結損傷ラットモデル,側頭葉てんかん

(受付日:2014年5月24日)