臨床神経学

<Symposium 18-2> 日常診療の中の神経心理学

脳卒中慢性期のコミュニケーション障害について

丹治 和世1)

1)山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学〔〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2〕

失語症は頻度の高い‘コモン’な症候だが,症状には顕著な個人差があり,神経機能画像の技術が進んでも,個々の病巣から正確に症状を予想することは難しい.また環境や状況によって症状は変化するため,標準的な失語症検査で評価できる言語能力の範囲は限られている.脳損傷者の日常的なコミュニケーション能力を理解するためには,社会的な文脈を踏まえた症状の評価が必要で,集団療法はその格好の機会となる.集団療法は神経心理学的な見地から,自由な会話場面での言語機能の本質があらわれる場となるのみならず,それ自体が社会生活に参加する貴重な機会であり,失語症者の抱える心理社会的な問題に対する有効な対応策の一つである.
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(臨床神経, 54:1092−1094, 2014)
key words:慢性期失語症,集団療法,ソーシャルアプローチ

(受付日:2014年5月23日)