臨床神経学

<Symposium 17-2> 運動ニューロン興奮性増大はALS病態の本質か?
―Fasciculationの電気生理学―

筋萎縮性側索硬化症におけるfasciculation potential:その特徴と臨床症状・生命予後との関連

木田 耕太1), 清水 俊夫1)

1)東京都立神経病院脳神経内科〔〒183-0042 東京都府中市武蔵台2-6-1〕

Fasciculation potential(FP)は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の筋電図診断において非常に重要な意義を持つ.運動ニューロンの自発放電に由来するこの現象は,神経変性のもっとも早期からおきると考えられており,FPをいかに正確に検出するかが,ALSの早期診断には重要である.また5相以上のものをcomplex form FP(CFP)と呼ぶ.CFPはALS以外では出現することが少ない.CFPの発生部位は,多くが軸索遠位部であると考えられており,軸索膜の興奮性の増大や不安定性と関連した現象であり,脊髄前角細胞や神経根から生じていると考えられる他疾患のFPと性状がことなり,診断的価値が高いものと考えられる.
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(臨床神経, 54:1083−1085, 2014)
key words:筋萎縮性側索硬化症,筋電図,線維束性電位

(受付日:2014年5月23日)