臨床神経学

原著

成人無菌性髄膜炎の臨床的検討―流行性と起因ウイルスの同定―

竹島 慎一1), 音成 秀一郎1), 姫野 隆洋1), 原 直之1)3), 吉本 武史1), 高松 和弘1), 高尾 信一2), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)広島県立総合技術研究所保健環境センター
3)現:広島市民病院神経内科

10年間で成人無菌性髄膜炎,男性203例,女性157例を経験した.毎年夏〜秋に,数回の小流行をみとめた.2012年流行期の21例中17例(81%)で起因ウイルスを同定した.試料の同定率は,便71%,髄液67%,咽頭拭い液42%,血清5%であった.すべてエンテロウイルスで,エコーウイルス(E)9型9例,E6型4例,コクサキーA9型1例,3例はエンテロウイルス属まで同定できた.E9型とE6型の臨床的差異はなかった.10年間でムンプス髄膜炎14例,水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜炎8例,単純ヘルペスウイルス髄膜炎5例をみとめたが,散発的発症であった.流行性のものはエンテロウイルスが主であり良好な経過であった.
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(臨床神経, 54:791−797, 2014)
key words:成人無菌性髄膜炎,エコーウイルス9型/6型,ムンプス,水痘・帯状疱疹ウイルス,単純ヘルペスウイルス

(受付日:2014年1月23日)